« WHITE ALBUM(最終話) | トップページ | 続 夏目友人帳(最終話) »

マリア様がみてる(最終話)

▼基本はファン専用。いや、応用もだ
正直言ってもはやこの4期からマリみてに入るのは不可能でしょう。キャラクターや世界観の説明は原則としてほとんどなく、4期から見始めても面白さは全く伝わらないはず。アニメを1期から全部見るか、原作を読破している人でないと楽しめない。じゃあそれが間違った方向なのか?と問われれば、答えはNOだと思う。ヘタに原作の面白さを壊してまで世界観を説明するようなストーリーを挿入するくらいなら、今回のように3期であるOVAからの続きという前提でほとんど説明なく始めてくれた方が1期から見ている俺にはありがたかった。1期から3期までのDVD限定版を全巻所有の俺としては、ずっと好きで見続けている人向けのシリーズであって欲しかったし、4期がそうであってくれたことは素直に嬉しかった。

▼成長した祐巳
4期のストーリーの中心は祐巳[ CV:植田佳奈 ]瞳子[ CV:釘宮理恵 ]の二人。思えば祥子[ CV:伊藤美紀 ]にあこがれて薔薇の館に来ていた祐巳がいつの間にか下級生からあこがれの対象として見られるようになるなんて、感慨深いです。祐巳の魅力はやっぱり自分の気持ちに素直で、自分に嘘をつかないところ。そう考えると瞳子とは祐巳とは全く逆の性格だった。そんな二人がEDではもうスールになっているもんだから、この二人がスールになっていく過程がこの作品の最大の見せ場なんだなと思って見ていた。

▼二つの視点
今までのシリーズでは心情の表現は基本的に祐巳が中心だったし、祥子への想いを爆発させて悩む祐巳や嬉しさのあまりにやける祐巳を見て、ニンマリしていたりしたもんだ。ところが4期では祐巳に加えて瞳子の心情描写がストーリー上も非常に重かった。その重い部分を隠されたまま祐巳視点でストーリーが進むから、もしかしてこの二人はもう無理なんじゃないか?と思っていたくらい。最終話で語られた瞳子の置かれた立場は凄く理解できるなと思った。「存在を認めてもらいたい」という欲求は人間の基本的な欲求の1つだし、病院を継ぐことに自分の存在価値を見出していた瞳子にとってはその否定は辛かっただろう。そこに祐巳からスールの話が。誤解も当然だったかもしれない。

▼百合であって百合でない
祐巳はそんな瞳子の事情は知らず、純粋な気持ちから瞳子をスールに選んだ。それはつまり瞳子の存在を認めていたことになるし、瞳子もそれに気づいたからこそ祐巳のスールになることを選んだんだろう。小さな気持ちが積み重なって最後の最後で盛り上がって、という心情描写はマリみての十八番です。百合作品というジャンルになるマリ見てだけど、マリ見ての世界では「百合」というよりも先輩と後輩の強い結びつきとして自然に描かれているし性的な描写やそれを連想させる物は一切無いので、むしろ凛として無垢な関係に見える。単なる友達ではない。先輩と後輩の上下関係でもない。男女の関係でもない。そんな不思議な関係から人と人との結びつきの強さを描くこの作品の魅力を改めて感じた。

マリア様がみてる(@AT-X) / アニメーション制作:スタジオディーン

|

« WHITE ALBUM(最終話) | トップページ | 続 夏目友人帳(最終話) »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: マリア様がみてる(最終話):

« WHITE ALBUM(最終話) | トップページ | 続 夏目友人帳(最終話) »