黒執事(最終話)
▼男でも意外といける
絵柄と登場するキャラクターを見て「これは腐女子向けかな?」と思っていたんだけど、これが意外と男が見ても十分に楽しめる出来。確かに腐女子狙いの演出も多々あるんだけど、ヴァンパイア騎士がそうだったようにストーリーについては男女を問わず楽しめる内容になっているので、絵柄と瞬間の演出だけで敬遠してしまうのは惜しい。
▼暗くて重い世界観
この作品のテーマが「シエル[ CV:坂本真綾 ]の復讐」ということもあり、とにかく全編通して暗くて陰惨な雰囲気が漂いまくっている。シエルは怒ったり自分の意思を強く主張することはあっても、決して心の底から笑ったり楽しんだりしない。そこにセバスチャン[ CV:小野大輔 ]の怪しさ100%なキャラクターも相まって、ダークで重苦しい、息詰まるような世界観がより一層窮屈な物になった。これは俺の勝手な思い込みだけど、おそらくこの鬱屈した世界こそがシエルの感じていた世界そのものだったんじゃないだろうか。そこには復讐という後ろ向きな物しかなく、逆にそこには自分以外の身近な人間を巻き込みたくなかった。そんなシエルの想いを作品全体が表現しているように思えた。
▼歴史絡みは辛い(俺が)
この作品の舞台はイギリスを中心とした中世ヨーロッパであり、天使と悪魔、やや宗教的な観念も最後にはストーリーに組み込まれていたように思う。中世ヨーロッパに関しては日本のファンタジー作品では珍しくないのでまだ良いとして、どうにも宗教的な観念や解釈、引いては史実などの歴史的なイベントとからめられてしまうと、どうにも俺の苦手(というか嫌い)な分野なだけに、やや退屈してくる。こればっかりは個人的な趣味趣向なのでどうしようもないところか。
▼意味のある執事
最初に書いたとおりこの作品は想像以上に、と言うと原作からのファンに失礼かもしれないが、ストーリーがしっかりしていて登場人物も無意味に執事だったりメイドだったりするわけではなく、理由があってその立場にいるという背景がしっかりと組み立てられている。だからちょっとくらい腐女子狙いの演出やストーリーがあっても、それを拒絶することなく、あくまで自然なストーリーの流れの一環として許容できるんだと思う。脚本とかシリーズ構成のレベルの高さ故だと思うし、ハイビジョン制作による画像のクオリティも高かった。強烈にお勧めとはまではいかないけど、少なくとも無意味にメイドやツンデレが出てくるだけのヲタ向け作品よりは十分に見る価値がある。比べるのも失礼か。
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