ティアーズ・トゥ・ティアラ:最終話(第26話)
▼最終話
レクトール[ CV:うえだゆうじ ]との最終決戦の鍵はアロウン[ CV:大川透 ]じゃなくてリアンノン[ CV:後藤邑子 ]の方だったか。そしてその鍵はプリムラが歌っていたあの歌。変な自己犠牲の精神で敵を倒す必要もなく、歪んだ完全性を求める神に対して、妖精と人間が力を合わせて戦い抜く。その上でつかむ勝利。最近のアニメとしては珍しいくらいにスッキリした勧善懲悪展開に、とっても清々しい気分になった。ここまで25話で積み上げてきた物をしっかりと昇華させ、筋の通った素晴らしいストーリーが出来上がった。物語の完結ここにあり。
▼仲間集めには少々退屈
最後までみてこの作品のストーリーのすばらしさ、物語の一貫性、最後にキチッと締めて終わるあたりは絶賛したい。一方で序盤の仲間集めには少々退屈したことも事実。PC版ゲームがそういう流れだし、ストーリー上アロウンとアルサル[ CV:石井真 ]、そしてリアンノンとオガム[ CV:秋元洋介 ]だけって訳にはいかないのは分かる。じゃあ具体的には?と言われるとアイデアがあるわけではないけれども、残りの主要PTメンバーについては、原作シナリオを大胆に無視するところがあっても面白かったかもしれない。最後にはリアンノンとアルサル、アロウンとオガムがいれば良いわけだから。
▼秀逸なストーリー
そんな退屈な仲間集めがあっても、この作品のストーリーの質の高さは否定されることはない。登場人物の心情描写とかも少なからずあったけど、この作品のストーリーで一番引き込まれる部分は、やはり多くの伏線とそれが見事に組み上がる考証の質の高さ。この世界が作られた理由と歴史があって、そこに生きた人がいて、そして今の世界がある。そんな始まりから現在に至るまで、全てが必然でそして全てに理由があるかのように構築された世界観。ここまでしっかりとしたバックグラウンドが用意されている作品ってそうそう多くない。ゲームが故の細かな設定とも言えるんだろうか、他の作品だったらちょっとした回想かモノローグで終わってしまいそうな部分も、この作品では1話使ってきちんとストーリーテリングをしてくれる。これだけのボリュームで矛盾の無い世界を作り出すのは相当に骨が折れると思う。
▼驚異の戦闘シーン
絵の面ではまず戦闘シーンのあり得ない原画、動画に触れておかないと。制作自体は1年以上前に行われたらしくスケジュール的な余裕もあったと思われるけど、全編とおして作画クオリティは非常に高い。その中でもアロウン軍の戦いのシーンはとにかく異常なまでにみんな動きまくる。スピード感と迫力、そして打撃の重さが伝わってくるような躍動感ある作画。この絵をテレビアニメで作れる制作会社はそうそう多くないぞ。そして24話の感想でも書いたように、とにかくバンク(繰り返し)をほとんど使わない。TOKYO MXでは放送されていないので残念ながらアナログでの鑑賞だったけど、それでも絵のクオリティが高いことは一目瞭然。
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