裏切りは僕の名前を知っている(最終話:第24話)
▼最終話
何とも拍子抜けする幕切れだ。いや、幕切れを迎えていないという言い方が正しいのかもしれない。原作について全く知識が無かったので確認してみたところ、そもそもまだ連載中の作品とのこと。俺がストーリーの核になっているだろうと思っていた夕月[ CV:保志総一郎 ](ユキ[ CV:ゆかな ])とルカ[ CV:櫻井孝宏 ]の過去。残念ながらその真実は明らかにならず。
一方で、天白[ CV:子安武人 ]とレイガ[ CV:石田彰 ]の過去。そこには一人の女性を巡って溝を深めてしまったかつての親友の姿が垣間見えた。レイガにとっては、天白に裏切られたという心の傷が深く残っているのかもしれない。そして"奏多"として生きた現世。そこでもまた、夕月との間で心に傷を負う。窓に腰を下ろし、何かを思うようにふさぎ込んでいたレイガの姿からは、とても夕月のことに無関心でいられない様子が伺えた。
些細なこと、それでも本人たちにとっては決して譲れない事態。誰も誰かを傷つけたくて傷つけた訳じゃない。そんな矛盾と憂鬱を抱えたまま、作品としては終了を迎えることとなった。なんともやりきれない気持ちは残るけれど、改めて夕月がレイガと向き合うことを決意できた。それには大きな意味があると信じたい。
▼女性向け作品
登場するキャラクターは十瑚[ CV:井上麻里奈 ]を除いてイケメン揃い。キャスト陣も女性受けする男性声優をくまなく配置。作品に漂う雰囲気から、キャラクターの"ノリ"、男同士で過度に照れくさいやりとり。この作品自体が女性向け作品であることは誰も否定しないだろう。それがすなわち、男にとって「つまらない」に直結するわけではないと俺は思っている。逆もまたしかり。多少、「ねーよ!」と突っ込みたくなる必要以上のスキンシップとか、前述のツンデレとかはあるけれどね。結局の所、生理的に無理という人がいるのも事実だろうし、ここは判断の分かれるところだろう。
▼感情移入できない
じゃあこの作品は、男の俺でも楽しめる、面白いと思える内容だったのか?ストーリーが完結していない以上、全体を通してというよりも、どうしても個別の各話毎の内容に目が行く。この作品に登場する登場人物は、みんな正直でまっすぐで、そして自分の心の弱さに向き合おうとする。一方でレイガ率いるデュラスにおいては、裏切りと欺き。悪に満ちた人物ばかり登場する。それを美しいと感じる心が無いわけではないが、率直に言って綺麗事すぎる。夕月にしてもルカにしても、この作品の登場人物には感情移入する隙がない。そうするとどうしても第三者的に遠くから物語りの進展を眺めるようになってしまう。結果的に、作品への没入度が下がるし、面白いという感情も生まれにくい。この作品の最大の問題はそこだろうな。
▼美麗な映像
お馴染みのJ.C.STAFF画質だけれど、この作品の持つ妖艶な雰囲気の表現は文句なしでしょ。イケメン揃いのこの作品で、作画の乱れは命取り。それだけにキャラクターの作画には相当に気を遣っていたと思うし、気合いも入っていた。頭身もかなり大きいこの作品で、全編通して違和感なく楽しめたのは、クオリティコントロールがしっかりと出来ていたことも理由の1つだ。パッケージはDVDのみのリリースということで、このクオリティはテレビ放送でのみ楽しめるというのはもったいない気がする。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
裏切りは僕の名前を知っているの伊藤かな恵の少女は私服に白い襟が有りませんのでしたのでしょうか?教えて下さい。
投稿: しょう | 2010年10月 1日 (金) 09時21分