学園黙示録 HIGHSCHOOL OF THE DEAD(最終話:第12話)
▼最終話
最終話を迎えても事態は好転するどころか、電子機器がほぼ使用不可能になるという危機的な状況に陥った。その原因は"奴ら"ではなく、人間が引き起こしたことは明らか。そんな状況下においても、相変わらず壮一郎[ CV:中田譲治 ]の判断は的確で素早い。高城邸に立て籠もれる状況じゃないとみるやいなや、すぐに高城邸の放棄と待避を指示。そして沙耶[ CV:喜多村英梨 ]たちをここから逃がすことを選択した。
孝[ CV:諏訪部順一 ]たちは、もうそんな状況にもほとんど動揺していない。以前なら、沙耶はヒステリックに騒ぎ立てたかも知れない。麗[ CV:井上麻里奈 ]はワガママを言って拗ねたかもしれない。今はどうだろうか。与えられた状況を全て受け入れ、全員で生きぬくことに全てをかけている。孝だけじゃなくて、全員がたくましくなった。
物語はここで終わり。世界は確かに終わりに向かって相変わらず突き進んでいるように見える。それでも、孝たちなら、最後まで、いつ訪れるか分からないその最後まで生き抜いているという確信が持てた。原作もここで終わりなんだろうか?もし物語に続きがあるのなら、またいつか映像として見てみたい。"奴ら"によって破滅に向かう世界の危機は何も解決していないのに、そんな不思議とした晴れ晴れとした気持ちが残るエンディングだった。
▼こだわりのエロ描写!
やはりこの作品を語るんだったら、これに触れないわけにはいかない。とにもかくにも、生死の際を目隠しで歩くような状況なのに、麗が、沙耶が、そして冴子[ CV:沢城みゆき ]がエロで迫る!"奴ら"の気持ち悪さと、このヒロイン3人組+静香[ CV:福井裕佳梨 ]のエロさの対比。"奴ら"という非現実と、"エロ"というある意味での現実、このコントラストが作品への没入度をより一層高める。直接的な描写は無かったのに、これだけ印象に残っている。この作品にはエロ要素は切っても切れない重要なアイテムの1つだ。
▼成長するキャラクター
パニック映画的なシチュエーションだけれど、この作品のゴールは最初から見えていた。それは孝たちの成長だ。結果として、なぜ"奴ら"が生まれたかの理由も分からないままだし、平和な日常も戻ってきていない。それでも、最終話で抱いた感想は先の見えない不安でもなく、将来への絶望でもなかった。もし1話や2話と同じような状況で最終話を迎えていたら、―その場合、全員が生存していなかった可能性は否定できない―、この作品には何の意味も見いだせなかったと思う。不安と恐怖を煽るストーリーと、話数を重ねる毎に成長するキャラクター。このコントラストもまた、この作品を「面白い!」と思わせる要素の1つだった。
▼躊躇しない映像
かつて人間だったモノとは言え、息の根を止めるために頭を叩きつぶすシーンはやはりインパクトがある。それでも、この作品の世界観、孝たちが感じている生の感覚により近づけるという意味において、決して妥協は出来なかった部分じゃないだろうか。単にグロい映像だけを作りだしても、話題にはなるだろうけど、それは面白さと違う次元の話。この作品は、それを面白さに昇華できるだけの器があった。だからこそ、グロ+エロの両面でこれでけこだわった映像が完成したんだと思う。残念ながらAT-XはSD、TOKYO MXもSDアプコン。HD制作の映像もテレビ放映で見てみたかった。これはBlu-rayにお預けのようです。
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