« 侵略!イカ娘(第11話) | トップページ | ぬらりひょんの孫(第23話) »

薄桜鬼 碧血録(最終話:第22話)

▼最終話
月明かりの夜、桜の花びらが乱れ散るその木の下で、対峙する土方[ CV:三木眞一郎 ]風間[ CV:津田健次郎 ]千鶴[ CV:桑島法子 ]には分かっていたはず。今の土方の状態で風間と全力で戦えば、たとえその勝負に勝ったとしても、土方の体が限界に達してしまうということを。

それでも。それを分かっていても、千鶴は土方を送り出した。止めることが出来なかったという言い方の方があの状況を見ると正しいのかもしれない。それでも、俺はこの千鶴の行動が、この薄桜鬼という作品が描こうとしたテーマ、物語の主題そのものを反映しているように思えた。新撰組の武士としての誇りのために戦う男と、その信念を貫く男に惚れた女。戊辰戦争の史実をなぞりながら、そこにこの作品としてのドラマを盛り込んでいく。

日本史嫌いの俺でも、そしておそらくターゲットになっていない男の俺でも、新撰組の面々はみんな男らしくて格好いいと思えたし、自分の正しいと信じる道を貫き通す、最後までやり抜くというその姿勢には感服した。人殺しを肯定するつもりもないし、史実とは言え人によって新撰組の存在に対する解釈が違うということを理解した上で、それでもやはりこの作品はフィクションとして非常に完成度の高い作品だったと言える。

▼時代に飲まれた新撰組
1期は新撰組の躍進を、そしてこの2期は新撰組の衰退を描いている。彼らの信念や行動が大きく変わったわけではなく、ただ時代の荒波に飲み込まれてしまっただけ。それでも時代に流されず、信じる人と物のためにがむしゃらに前へ進む。最終話だけじゃなくて、この2期では常に彼らの姿勢に驚かされたし、励まされたような気がする。フィクションだからこそ、敢えて史実をひっくり返してハッピーエンドにすることも出来たわけだし、千鶴をもっと恋愛モードに突入させることも出来た。それでもあえてそうしなかったことで、この作品のメッセージはより強くなったと思う。

▼格好いい登場人物
女性向け作品と言うことで、キャスティングとキャラデザインの両面から、"いい男"で固められた新撰組。最初(特に1期)はなんだかなぁ~という気持ちの方が強かったんだけど、途中からそんな気持ちはどこへやら。それだけ彼らの人間くささの部分も、しっかりと史実に沿って描ききろうという意気込みがあったんだと思う。ホントはもっともっと血生臭くて、醜い汚いエピソードもたくさんあったんだろうけれど、この作品の雰囲気や方向性を考えると、これくらいのバランスでちょうど良かった。男女問わず、新撰組の男気に魅せられたんじゃないだろうか。

▼迫力の殺陣
パッケージがDVDのみの発売ということで、制作フォーマットはSD(480i)、アップコンバートでの放送と想定される。この作品の見せ場はやっぱり殺陣だよね。最終話の土方と風間はもちろん、随所で強敵との直接対決を余儀なくされた新撰組。最大のポイントは「重さを感じる太刀筋」だ。これは殺陣の演出をきちんと組み立てて、そしてしっかりとした作画をしないと生まれないモノ。解像度は高くないけれど、動きの面で手抜き無し。ストーリーも作画も真面目に作られた良作だったと思う。

薄桜鬼 碧血録(@TOKYO MX) / アニメーション制作:スタジオディーン

|

« 侵略!イカ娘(第11話) | トップページ | ぬらりひょんの孫(第23話) »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 薄桜鬼 碧血録(最終話:第22話):

« 侵略!イカ娘(第11話) | トップページ | ぬらりひょんの孫(第23話) »