あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。(最終話:第11話)
▼最終話
分かってた。最終話では間違えなくめんま[ CV:茅野愛衣 ]との別れが待っている。そう理解していたはずなんだけど、やっぱりその瞬間を見届けないといけないっていう状況が既に辛い。一連の「かくれんぼ」のくだりは流石にちょっとやりすぎというか、しつこい?という気もしたけど、今までじんたん[ CV:入野自由 ]たちが溜め込んできためんまへの本当の気持ち、いや、正確には自分自身の本当の気持ちを爆発させた今、それは決して大げさな演出とは言い切れないかも。
めんまが陽光にかすむラストシーン。神社であなる[ CV:戸松遙 ]が、つるこ[ CV:早水沙織 ]が、そして堰を切ったようにゆきあつ[ CV:櫻井孝宏 ]やぽっぽ[ CV:近藤孝行 ]が心の底に溜まっていた、見せたくない自分の汚い部分をはき出してくシーン。この2つが最終話のクライマックスだ。
ぽっぽの予想外の告白がどう言って良いのか分からないぐらいの衝撃だった。あれだけ冷静だったつるこのあなるに対する嫉妬という意外な感情。4人が涙に暮れる中、それでも涙を見せないじんたん。そんなじんたんの涙が、めんまの願い事だったとはね。じんたんの前に再びめんまがあらわれて、そして出会いがあれば同じように別れもあって。
過ぎていく時間があり、そして止められない時間がある。だからこそ、じんたん達は悩んで落ち込んで、そして一人で抱え込もうとしていた。青春群像という表現でくくってしまうのは簡単だけど、このリアルな感情のぶつかり合いの中に、まるで自分が放り込まれたかのような、そんな濃密な11話。あっという間に終わってしまったな。
▼リアルな人間ドラマ
この作品が単なるお涙頂戴の物語だったとしたら、おそらくここまで話題になる事は無かったと思うし、おれもここまで夢中になる事は無かったと思う。じんたんはもちろん、超平和バスターズの構成員はみんな超リアル。一生懸命に自分を良くしようと虚勢を張るんだけど、その実は自分の本当の心が露見する事を恐れている。ちょっとぎこちないかつての親友同士の会話とか目の合わせ方とか、そういう小さな描写がリアリティを増強してくれる。もし自分が同じ場所にいたらどういう選択をするんだろう?なにが正解なんだろう?答えのでない課題を与えられているようで、それが作品への没入度を高めてくれた。
▼幽霊というテーマ
アニメオリジナル作品だから、始まってみるまでどういう内容か分からない。そしてこのテーマだ。昔好きだった女の子が、幽霊になって戻ってくる。決して新鮮じゃないはずの作品の主題。それなのにどうしてこれだけ夢中になれたのか?キャラクターという大きな要素に加えて、"わかりやすさ"だと思う。いつも感想に書いているこの言葉。小難しい設定をこねくり回す作品と同じくらい、シンプルに笑えたり感動できたりする作品が実は凄いんじゃないかと、最近は思うようになってきた。
▼作画は及第点か
A-1 Picturesの制作はここのところ微妙。その中で考えれば、相対的に「あのはな」は及第点と言って良いと思う。セリフと同じくらいキャラクターの表情や仕草が大切だったこの作品で、大きく目に付く不満はなかったし、全話通してのクオリティも一貫していた。そしてED。これは曲選びの勝利だな。まるでこの作品のためだけに書き下ろしたんじゃないか?と思えるくらい、歌詞がマッチしていた。作品の内容的には2期が作られる事は無いだろうけれど、ノイタミナ枠を今後もこういう作品のために大切に育てていって欲しいと思う。
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