夏目友人帳参(最終話:第13話)
▼最終話
クラスメイトと過ごす何気ない時間。そして妖怪たちとの宴と影踏み鬼。「夏目友人帳参」での夏目[ CV:神谷浩史 ]を象徴するような、そしてこの第3期の集大成とも言えるようなエピソード。
この3期ではほとんど出番もなく、影の薄い存在だった純[ CV:沢城みゆき ]。随分と久々に見た気がする。その純も随分と穏やかになったな。その理由は間違いなく夏目の人当たりの変化だと思う。夏目の心境の変化は、すなわち"人"との関わりの変化。その積み重ねを見てきたからこそ、この最終話には感慨深いものがあった。
最終話の放送を前に12月から第4期の放送が公に。つまるところこの3期は分割2クールってことだけど、感慨深さの反面、正直なところこの3期には物足りなさも感じていた。1期や2期のストーリーの中心だった「夏目と妖怪の心の触れ合い」というテーマの割合が、急激に減ってしまっていたから。
そう言う意味では、この3期が4期へ向けての良い助走期間だったと思いたい。
▼テーマは人間
常々、この作品の感想で書いてきた通り、この3期は妖怪よりも人間がストーリーの中心だと俺は感じた。友人帳の名前を返す過程で、夏目が様々な妖怪との出会いや別れ、交流や対立を経験するというお約束のエピソードは封印。この作品のタイトルと、そしてテーマを考えると、かなり挑戦的なシーズンだったんじゃないだろうか。
俺はその「お約束」を大いに期待していただけに、肩すかしを食らった感はある。じゃあつまらないのか?という問いに対してはもちろんノー。このあたりは夏目友人帳という作品に何を求めるかっていう、個人個人の嗜好だろうな。
▼夏目の成長
過去のいじめられていた自分を思い出しても、それを理由にふさぎ込んだり、自分の殻に閉じこもったりすることはもうない。田沼[ CV:堀江一眞 ]や透[ CV:佐藤利奈 ]っていう心を許せる友だちもできた。今の夏目には、昔の自分を懐かしく、そして温かい気持ちで見守る余裕が感じられる。
だからストーリーには少しばかりの物足りなさを感じていても、この夏目の頼もしい成長のおかげで、今までよりも安心して物語を楽しめる。第4期では、この夏目がさらにどんな飛躍を見せてくれるのか、今から楽しみ。
▼これまでのシリーズと比べて
ブレインズ・ベースという制作会社の通常のクオリティは疑う余地もないけれど、一方で同時期に多数のTVシリーズの制作を走らせるほどのキャパがあるんだろうか。今期はこの夏目友人帳以外に「輪るピングドラム」「神様ドォルズ」の計3本の制作に名を連ねている。
残念ながら、どころどころでそのしわ寄せでは?と思えるような作画の場面が見られたのは事実。幸いにして分割2クールなので、ここは一息ついて4期に向けてしっかりと体制を整えてもらいたい。
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