夏目友人帳 肆(最終話:第13話)
▼最終話
三世子[ CV:潘めぐみ ]の家で過ごした夏目[ CV:神谷浩史 ]の小学生時代。夏目が今まで、向き合ってこなかった自分の過去。
夏目の「空気が読めない」その性格に、なんともじれったい気分にさせられる。なんでもっと上手く生きられないんだ?っていう、怒りにも似た感情。"家族"の空間に突然現れた夏目の存在に、戸惑い反抗する三世子。何もかも忘れたくなるようなそんな出来事も、今の夏目には「自分の一部」と言える。夏目のその言葉を聞いてしまうと、腹を立てていた自分が恥ずかしくなるな。
「参」と「肆」の実質2クールとなった今回の夏目友人帳。夏目と妖怪の心の交流のエピソードで癒されていた1期と2期から大きく飛躍して、ドラマ性にさらに磨きがかかったストーリー。最終話は、そのエッセンスがギュッと凝縮された、濃厚な味付け。
夏目が三世子に鍵を返したとき、三世子は果たして夏目になんて声をかけたんだろうか?表情からして、「たまには、遊びに来てよ」的な内容だろうか?そんな想像を巡らせる余韻もまた、実にこの作品らしい。
▼一流のヒューマンドラマへ
3期同様、妖怪の存在は、ストーリーでは相対的に小さく見える。それはやっぱり、夏目の心の中に「人間」との関わりが締める割合が増えたから。だからといって、妖怪とのエピソードが薄くなった訳じゃ無い。
総じて言うと、ストーリーに"幅"が出てきてるんだと思う。夏目友人帳という作品が1期・2期と築き上げてきた土台は崩さずに、そこに上手く上積みされていったことで、ストーリーに深みが出てきた。夏目が妖怪のことや自分過去のことを語るモノローグにも、言葉に重みを感じる。もちろんこの3期、4期だけでも楽しめると思うけれど、未見の人は是非、1期・2期からをお勧め。
▼過去と向き合う
やっぱり人間、イヤだったことはさっさと忘れたい。自己嫌悪の感情も含めて、それが自分だって言い切れる夏目に、尊敬の念すら覚えた。もちろん、夏目だって過去を思い出して楽しい気分になってる訳じゃないんだろうけど・・。やっぱり"今"が充実してきたっていう精神的な充足感が大きいのかな。
そしてそんな夏目を、いつも以上にニャンコ先生[ CV:井上和彦 ]が見守ってくれていたような気がする。ただしこれについては、なにぶん相手がニャンコ先生だけに気のせいかもしれない(笑)。
▼今期は作画も安定
「参」の時はブレインズ・ベースの同時制作進行作品の影響もあり、少々怪しかった作画クオリティだけど、今期は文句なしのハイクオリティ作画復活。自分には縁もゆかりも無い、フィクションの世界の風景なのに、何故か夏目の回想は懐かしさを感じてしまう。
そして極めつけは、最終話で夏目が自分の家に戻った時だ。がらんとした夏目の家の風景を見て、不思議とそこには懐かしさや温かさを感じなかった。もしかして、夏目はこの家のこと、あまり覚えてない?そして案の定、夏目の記憶はかなり曖昧。この一体感は、じつに気持ち良い。
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