Another(最終話:第12話)
▼最終話
何よりも、まずは"止まった"という事実にホッとしている。最後の最後で誰かが死んで、「実はまだ終わってなかった・・」的なオチを心配してしまうほど、疑心暗鬼にさせられるストーリーだった。いやしかし、おそらくはまた何年かのち、あのMDを聞くことになるんだろうと考えてしまうと・・・。
しかし、あれだけの惨状になっていた合宿所で、「10人の犠牲者で済んだ」というのが、正直な感想だ。まるで爆薬でも仕掛けてあるんじゃ無いかと思うような激しい爆発と、多佳子[ CV:福圓美里 ]の一言で始まったパニック。もっと悲惨な事になっていてもおかしくなかった。
死者は誰なのか?っていう疑問は、ようやく12話にして瓦解。それにしてもオフィシャルサイトも含め、「三上先生」と「怜子さん」がまるで別人かのように描写し続けるこの演出には、完全にやられた。というか途中で、「あれ、この二人って同じ人でしょ?」と思ったことがあったんだよね。その違和感は正しかったというワケか。何とも凄い仕掛けだ。
それにしても、全て終わったはずなのに、まだまだ恐怖感の余韻が残る。これこそホラーと呼ぶにふさわしい作品だ。
▼浸透してくる恐怖感
ホラー作品の場合、視覚や聴覚に直接的に訴える演出がまずありきだと思う。要するに「怖がらせる」んじゃなくて、大きな音を出してみたり、物陰から突然何かが飛び出してきたりで「脅かす」っていうこと。
この作品の凄いところは、そういう演出はもちろんあるんだけれど、それ以上にじわじわと染みこんでくるような恐怖感。いったい誰が死者なのか、次に犠牲になるのは誰かのか。不安と疑心暗鬼に支配され、何から何まで疑いたくなる。
こうなると、もうすっかりこの作品の術中にはまったと言って良いだろう。1話見終わって、提供クレジットも終わってCMが始まっているのに、半ば放心状態でなかなかリモコンの停止ボタンを押せない。そんなことが何度あったことか。
▼鳴ちゃんかわいいよ、鳴ちゃん?
とにかくあり得ないくらいに、次々と登場人物が無惨な死に方をしていく。とてもじゃないけど、どのキャラクターが好きとか可愛いとか、そんな事を考えている余裕は基本的には無い。あくまで基本的には。
病的に白い肌とか、あるのかないのかよく分からない胸とか、「可愛い!」と言える要素はあんまり無いはずの鳴[ CV:高森奈津美 ]なのに・・・。サンドウィッチを食べた後の手をぺろっとなめてみたり、立入禁止のロープに足が引っかかってみたり。あまりに絶望的な状況に、無意識に救いを求めてしまったんだろうか(笑)。
▼リアルすぎて強烈
ストーリーが演出する恐怖感をより一層引き立てる場面。それはなんと言っても、次々と死んでいく3年3組のクラスメイトだ・・。なによりも一番最初のゆかり[ CV:野中藍 ]の死に方が強烈過ぎる・・・。あの場面、未だに頭からなかなか離れない。
そんなせい惨な映像をせい惨たらしめるのは、なんと言ってもP.A.WORKSの圧倒的な作画クオリティ。「人間の動き」はもちろんのこと、背景や建物、手に持っているカバン等々の大きさ、血の飛び散り方。そういったリアリティを徹底的に追求した作画で、この作品はもう反則と言って良いだろう。
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