夏色キセキ(最終話:第12話)
▼最終話
もしあのまま、誰も何も言い出さなければ、永遠に夏休みの1日が繰り返されただろうか?いや、たぶんその仮定は無意味だろうな。紗季[ CV:高垣彩陽 ]が「終わらせて思い出に」と言った言葉、まさにそのとおりだ。
それにしても、何度やっても優香[ CV:戸松遙 ]がオーディションでチョンボをするっていうのは、実に優香らしくて微笑ましいエピソードじゃないですか(笑)。それでいて、もう1回の次の日には、再びどこからともなく沸いてきた自信に満ちているっていうね。
最後はいったいどんな"キセキ"が起こるのか。そんなことを後半のエピソードを見ながら考えていたわけだけど、最後のお願いは奇跡でも何でも無く、だけど、この4人がこうして同じ時間を過ごしたってことが、ある意味で"キセキ"なのか。遥か記憶の彼方に追いやった中学生の頃の夏休みを、ちょっとだけ思い出してみようかな。
▼友情の物語
何よりもキャスティングの経緯があって、内容的には大して期待してなかったし、それほど面白くならないんじゃないかと、最初から決めてかかっていたことは事実。そして結果的に、その決めつけが間違いだったことを思い知らされた。
何てことは無い4人の中学生が主人公ながら、そこに"御石様"が絡んで、ストーリーとしてはSFにも似たような非現実的な設定に。一方で、その御石様のおかげで起こる出来事は、紗季の転校も絡んで実にリアルなエピソード。夏海[ CV:寿美菜子 ]や紗季の悩み、葛藤、そして友達っていう存在。
御石様が関係なくても、彼女たちがおそらくこの夏に経験するはずだった思い出が、そこには詰まっていた。夏海たちがどういう選択をするのか、そしてどういう結論を出すのか。彼女たちの行動から目が離せない全12話に仕上がっていた。
▼奇をてらわない魅力
基本的に、夏海も紗季も、そして優香も凛子[ CV:豊崎愛生 ]も、普通の中学生だと思う。ちょっと大人びている紗季がいたり、子供っぽい優香がいたり。このあたりのバランスもまた、リアリティがあって良かった。
彼女たちには特別な特技があったりとか、はたまた魔法が使えたりとか、そういう"アニメ的"ヒロインの特徴は全くもって持ち合わせていない。それ故、彼女たちの人間性がことある事にクローズアップされる。それだけ彼女たちのキャラ設定には手を抜けないってことだし、演じる側ももちろん同じ。
敢えて自然な中学生の女の子を描くという、実は難しいテーマを最後まで描ききったと思う。
▼OPとEDはベストマッチ
スフィアの楽曲は、特に4人の声が重なったときの透明感がものすごく気に入っている。それぞれの声には特徴がありつつ、4人のハーモニーはその4人のどれとも違った声になってる。そして夏色キセキのOPとEDは、その声の透明感とこの作品の持っている純粋でピュアな友情というテーマと、ベストマッチというほか無い。
作画についても、テレビシリーズということを考えれば合格点でしょう。リアルな下田の背景と、この4人のキャラクターもうまく馴染んでいたしね。
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