ヨスガノソラ(最終話:第12話)
▼最終話
悠[ CV:下野紘 ]と穹[ CV:田口宏子 ]にとって、この結末は本当にハッピーエンドなんだろうか?二人が実の兄妹なのか、それともお約束の「血の繋がらない兄妹」なのか。本編では最後まで実の兄妹設定を貫いた。その前提に立つならば、悠の選択はとても正しかったとは思えない。むしろ梢[ CV:峰岸由香里 ]の言葉に、そして奈緖[ CV:いのくちゆか ]や瑛[ CV:阪田佳代 ]たちのやりきれない気持ちに共感できる。
禁断の愛を貫いた二人、という解釈なんだろうけれど・・・。う~ん、どうなんだろ。悠や穹の気持ちに感情移入してこの穹シナリオを最後まで見られた人はいたんだろうか?正直言って後味の悪い最終話になってると思う。悠は穹の極度に内向的になっていたその性格を、さらに「閉じ込めること」に導いてしまった。二人の世界では、自分たちの事に親身になって、涙を流して気にかけてくれる友達は不要な存在でしかない。こういうメッセージって、果たしてリアルに置き換えて正しい思考と言えるだろうか?むしろ病的にすら感じる。
個人的に閉塞感に満ちたどうしようもないフィナーレは嫌いじゃない。ダークな雰囲気のアニメも大好きだ。そういう作品には必ず「それが誤った結末」であるメッセージが明確に込められている。それを美化しないというのが最低ラインだと思ってる。残念だけどヨスガノソラの場合、特にこの穹シナリオにおいては、むしろ閉塞感だけが余韻として残る。もし作品の真意が他にある、というのであれば、是非とも制作者の意見を聞いてみたい。少なくとも、俺にはそれは感じ取れなかった。
▼ヒロイン中心構成
ストーリーの途中で各ヒロインのシナリオに分岐する。このシリーズ構成は良い試みだったと思う。「複数のヒロインを攻略する」ゲームをアニメ化した場合の大失敗の例は、全部のヒロインのシナリオを救済しようとして結局グダグダに終わり、主人公が単なる浮気男で終わること。少なくともヨスガノソラではその心配は無かった。じゃあ成功だったか?と問われると、少々微妙だ。というのもそれぞれのヒロインにフォーカスするには話数が少なすぎた。悠がいろんな女の子に言い寄られてるだけの内容になったのも事実。改めてこのジャンルのアニメ化の難しさを感じた全12話だった。
▼過激な性描写が必要なのか?
エロい、エロいと大騒ぎするのは簡単だけれど、改めて制作陣に問いかけたい。本当にノーレーティングのTVアニメとして必要な表現だったのか?折しも東京都の条例が話題となっていたご時世、アニメやマンガの制作者は分別をもって良質なコンテンツを提供している、必要な性描写を必要なシーンに入れている、と大手を振って堂々と宣言すべきタイミング。世の中には18禁というジャンルがあるわけで、本来このレベルの表現は、ノーレーティングで光源とか小手先の修正を入れながらコソコソ出すよりも、むしろ18禁の中で堂々とやってもらった方が良かったと思う。この内容だと、目くじらを立ててる人のやり玉に挙げられても、俺には擁護するだけの理由が思いつかない。
▼田舎の空気は感じたか
SDのAT-Xで見ていたので画質への評価は難しいところ。穹と悠たちの暮らす田舎町の雰囲気、俺はなかなか良い具合だったと思う。画質の関係もあって流石に空気感を感じる、雰囲気に圧倒されるというところまではいかなかったけれど、建物がたくさんたっているような都会的な風景よりも、少なくともアニメ的にはこういう山と緑の風景は得意な表現だよね。その利点を上手く活かしていたと思う。キャラクターのデザインはオリジナルとはちょっと雰囲気違ったけれど、十分合格点。弦楽器で構成されるBGMも雰囲気にピッタリ。作品の周囲を固める要素は文句なしだった。ついでにCパートも本編とあまりの関係の無さが逆に新鮮。出目金こと巨大な瑛がツボだった。最後はほとんど出てこなかったけど。
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