魔法少女まどか☆マギカ(最終話:第11話・第12話)
▼最終話
11話のエンディング。これが2話連続放送じゃなかったら、そのまま陰鬱とした1週間を過ごしてしまうんじゃないか。そう思うくらいにほむら[ CV:斎藤千和 ]に突きつけられた現実は残酷だった。もうこの状況からほむらを救えるとしたら、おそらくまどか[ CV:悠木碧 ]しかいない。心の何処かではそうあって欲しくない、というほむらの気持ちを感じつつも、それが避けられない事態という事は薄々気づいていた。
まどかの選択。まどかの願い。まどかという存在は、ほむらの前から消えてしまった。そして多くの人の記憶に残らなかった。キュゥべえ[ CV:加藤英美里 ]が言っていたインキュベーターと人間の違い、それは感情。いろいろな物が頭の中で交錯する。本当にほむらにとってこの結末は望んだ物だったのか?まどかの選択は、この世界にいったい何を残したのか?
俺はマミ[ CV:水橋かおり ]の言葉が、「希望になれ」という言葉が、まどかの心の代弁をしていたように思う。まどかの言葉だから、まどかの本当に悩みに悩んだ末の結論だからこそ、さやか[ CV:喜多村英梨 ]だって魔法少女になる事と引き替えにかなえた夢を諦めてでも、希望を繋ぐ事を選択した。
都合良くまどかが再びその姿を具現化する事もなかった。それでもほむらは時間を戻さなかった。いや、戻したとしてもおそらくまどかの強烈な力の前では効果が無かっただろう。ほむらの心に残った、希望という感情。人間だけが持つその心。この作品にこめられたメッセージが昇華した瞬間。まどかの声が聞こえた―。無事放送を終える事が出来たこの作品に、魅せられ続けた連続放送だった。
▼異例の魔法少女作品
オフィシャルサイトのキービジュアルを見ても、そして1話の放送を見ても、誰もこの作品がここまで深くまどかとほむらの感情をえぐり出す、そんな重いストーリーになるとは想像も付かなかったはず。単に陰鬱なだけじゃなくて、そこには見ているひとを引き込んで一緒に答えのでない問題を必死で解いているような、そんな連帯感があった。まどかの前に突きつけられる理不尽すぎる現実。魔法少女というお約束の題材を、ここまでの料理に仕上げてくる。虚淵玄のシナリオには感服だ。
▼生々しい感情表現
絵柄はちょっと可愛くても、この作品に登場する魔法少女たちは、少なくとも自分の感情を取り繕うような事をほとんどしない。それは時に新鮮な驚きを与えてくれると同時に、心に刺さるような辛い事実も突きつける。どうしていいか分からない―。もし自分が同じ環境に置かれたら、どんな選択をして良いのか正解が思いつかない。そんな絶望的な状況に、気がつくとまるで吸い込まれるかのように感情移入して画面を見つめていた。毎週毎週、どん底に突き落とされる事が分かりながらも、続きを見ずにはいられなかった。
▼独特の映像表現とOPのコネクト
魔女と戦う時の演出、そしてその魔女そのものの描き方がかなり独特。そもそもどれが魔女の本体と呼べる物なのかも分からない、その得意なビジュアル。最初は「なんだこれ?」と思っていたその存在も、回を重ねると不思議と違和感なく、そして時には恐ろしさを感じ、そして魔女に真実を知った後は思わず目を背けたくなる。そして10話で明らかになったOPの歌詞の意味。その瞬間に背筋がゾクッとする。この作品がこれだけの話題を集めた理由は、どの面を見てもいくらでも説明ができそうなくらい、クオリティを追求した作品だったと思う。
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