花咲くいろは(最終話:第26話)
▼最終話
緒花[ CV:伊藤かな恵 ]の告白、そこ出来たか!お祭りの夜、孝ちゃん[ CV:梶裕貴 ]と二人きりになり、そしてロマンチックな雰囲気で・・・みたいなのは、緒花には関係なかったな(笑)。しかし屋台の焼きそば屋の前とは。実に緒花らしい。
孝ちゃんと緒花の関係は、たぶんまだ"友だち"なんだろう。次郎丸[ CV:諏訪部順一 ]の部屋で布団の準備をしているときも、緒花自身がそう言っていたしね。だけど、緒花みたいなとにかく前向きポジティブで空気は読めないけど、それでも自分の意志を貫き通す女の子は、そんじょそこらの男じゃ受け止められないだろうな。だからこその孝ちゃんなんだと、最終話で悔しいながら納得。孝ちゃんの包容力には誰もかなわないな。
喜翆荘という1つの舞台が幕を閉じ、そこに集まっていた人たちは、また次の人生を歩み出している。1話で喜翆荘に出会い、そこで働く人やそこに関わる人のいろんな人生の物語を見てきた。1つの時代が終わってしまった寂しさと同時に、新しい目標や夢に向かって歩き出すその姿には、エネルギーをもらった気がする。
こういう形でしっかりと終わりを迎える作品はあまり多くないけれど、それと同時に自分も前に進まないと!という激励をもらった気がする。今はこの作品を見終わったことの充足感と、そして感謝の気持ちでいっぱいだ。
▼人の生き様を描く
この作品の舞台、喜翆荘。そこで働く人たちのエピソードは、まさにその人たちの人生だ。それぞれのキャラクターの視点で描かれるエピソードだけれど、俺はいつの間にか「喜翆荘」という視点で、全ての人たちを見ていた気がする。そしてその場所に対する愛着も、気づけばひとしおになっていた。
最終話で看板が外され、そして女将さん[ CV:久保田民絵 ]が歩いてまわった喜翆荘。あれだけ広く大きく感じたのに、心境の違いだけでこうも狭く小さく、そして寂しく感じてしまうんだな。それだけこの場所に対する思い入れが、俺の中でいつの間にか強くなっていたんだと思う。
▼恋と仕事
この物語のメインヒロインとなる緒花、そして民子[ CV:小見川千明 ]・菜子[ CV:豊崎愛生 ]・結名[ CV:戸松遙 ]の4人。まだ16歳や17歳という年齢の彼女たちだけど、時々ものすごく大人に見えて、そして時にはものすごく子どもに見えた。
「恋」なのか「愛」なのか、実に絶妙な経験をする年齢。それに加えて、彼女たちは「働く」っていう事の意味を、おそらく多くの同年代の女子高生よりもずっと深く考えたに違いない。彼女たちが悩んだり、突撃したり(これは主に緒花と民子)、怖じ気づいたり、逃げてみたり。そうやって積み重ねてきた物が、彼女たちの糧になる。そして多くの働いている人、これから社会に出る人に対して、その意味を考えさせただろう。
それだけ彼女たちの存在は、リアルで生々しく描かれていた。
▼いつか行きたくなる風景
本当はこの9月末に「湯涌温泉」へ行こうと心に決めていたんだけど、残念ながら台風等の大荒れの天気により断念。出来れば作品オンエア中に行きたかった!喜翆荘は架空の旅館のようだけれど、P.A.WORKS作品の舞台は、1度そこへ行ってみたい!と思わせるだけの説得力が凄い。それはもちろん、演出だったり絵コンテだったりの要素もあるんだけれど。
キャラクターの作画にも手を抜かないし、最終話の「ぼんぼり祭り」だってモブの動きへのこだわりもハンパ無い。TVアニメとして考えられる最高のクオリティで作品を送り出せる数少ないプロダクション。今作ではグロス回も大幅に減って、その多くをP.A.WORKS内で完結させていたことも、付け加えておきたい。
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